世界と石けんの歴史
紀元前3000以前 |
石けんが作られる前は、粘土や灰汁、植物などで汚れを落としていた |
---|---|
紀元前3000〜2500年頃 | チグリス・ユーフラテス川流域(現在のイラク)
シュメール人によって、石けんの製法とレシピ、石けんを使った羊毛の洗浄方法が粘土板に書かれた。 古代ローマ(現在のイタリア)
古代ローマ時代はじめ頃、サポー(Sapo)の丘の神殿で、焼いた羊から落ちた脂と灰が混ざった土に汚れを落とす力があることを発見する。英語の「ソープ (Soap) は、サポー(Sapo) が由来であるといわれている。 製造方法
油脂と木炭を混ぜて製造 |
8世紀頃 | エスパニア(現在のスペイン)、イタリア
やわらかい「軟石けん」が作られるようになる。くさい石けんだったらしい。 製造方法
油脂と木や海藻の灰を混ぜて製造 |
12世紀頃 | フランス (マルセイユ)、イタリア (サボナ、ベネチアなど)
くさくない硬い石けんが作られるようになり、ヨーロッパで広まる。サボナはフランス語の石けん=サボン(savon)の語源らしい。 製造方法
油脂と木や海藻の灰を混ぜて製造 |
17世紀 | マルセイユ
1688年 フランス国王ルイ14世が「マルセイユ石けん」の製造基準を作って石けんの品質を管理するようになる。 製造方法
油脂 (オリーブ油) に海藻の灰を混ぜて製造 |
18世紀 | フランス、イギリス
産業革命によって織物工業が発展し、原糸や織物の不純物を洗うために多くの石けんが必要になる。 製造方法
油脂に炭酸ソーダを混ぜて製造 海藻灰や木灰から製造していた炭酸カリウム (アルカリ成分) から、ルブラン法によって製造された炭酸ソーダ (アルカリ成分) によって石けんが作られるようになる。 |
19 世紀〜現代 | イギリス
ベルギーの化学技術者アーネスト・ソルベーが、炭酸水素ナトリウム(重曹)を焼いてソーダを作る方法「ソルベー法」を確立する 製造方法
油脂に苛性ソーダを混ぜて製造 現在も固形石けんの製造に苛性ソーダが使用されている。 |
日本と石けんの歴史
石けんが作られる前 | 灰汁(あく)や米の研ぎ汁、米ぬか、海草の煮汁などで汚れを落としていた。 |
---|---|
安土桃山時代 | 南蛮貿易によりポルトガルやスペインから石けんが渡来した。当時の石けんは灰汁を麦粉で固めたものだったが、とても貴重で将軍や大名など地位のある人しか使えなかった。(当初は薬として使用された) |
江戸時代 1824年(文政7年) |
医薬品として日本初の石けんが作られた。 |
明治時代前半 1873年(明治6年) |
日本初の石鹸製造所「堤磯右衛門石鹸製造所 (神奈川県) 」にて洗濯石けんが製造される。 ⇩ 翌年1874年に化粧品石けんが製造される。 ⇩ 1893年 (明治26年)に堤磯右衛門石鹸製造所が廃業となった後、堤磯右衛門の門下生が「花王」、「資生堂」で石けんの製造を行う。 |
明治時代後半 1900年頃〜 |
石けんが一般的に普及し、顔や体を洗ったり、洗濯など使用されるようになる。 それまで庶民は、植物(小豆の粉、ぬか等)や灰汁で洗濯したり身体を洗っていた。 |